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海と野菜のまちより~心に響くヘアサロン~「美容室クルー」

『おっぺし』

      2017/12/21

 

おっぺす「押し圧す(おしへす)」の方言

 

銚子に実在したおばさん、通称「おっぺし」を偲んで。

 

その出で立ちや行動から奇異の目で見るひとは珍しくありませんでした。

 

まずは遠目にもわかる派手なスパッツ、やせ型でモサモサな髪にかなりつり上がった眉、目も鋭い。

 

一度見たら忘れないでしょう。

 

とくに駅前から十字屋あたりにかけて多く見かけられました。

 

私も実際4度見かけた事があります、そして一度だけ、”おっぺしている”ところに遭遇しました。

 

そう、「電柱」を押していたのであります。動かないはずの電柱を、両手に力を込めて、グイグイと押していました。

 

力を込める腕とは対照的に顔は下を向き、何かブツブツ言ってる様にも見えました。

 

後に聞いたのですが「車」を押している事もあったようです。

 

車と電柱・・何の気にもとめず私も「おかしいオバサン」として片付けていました。

 

 

2000年過ぎた頃だと思います。

”おっぺし”さんをほとんど見かけなくなりました。

ちょうどその頃「おっぺし」たる所以(ゆえん)を知る事が出来ました。

 

 

 

彼女には一人息子がいたそうです。

 

二人で買い物中だったんでしょう、ある時交通事故に巻き込まれてしまいました。

 

母親は難を逃がれた事と思うんですが、…息子が電柱と車にはさまり、亡くなってしまったそうです。

 

車をどかして助けたかったのでしょう、電柱が邪魔だったのでしょう、私の見たあの姿は今でも子供を救おうと必死にどかしている姿だったのです。

 

彼女の時間は止まり、悔しくて何年も何年もどかしていたんだと思います。

 

母親にとって最も災厄な出来事が原因だという事がわかりました。

 

それを知ってからも見かける事はなく、亡くなったという話も聞きました。

 

私にも息子がいます。

 

もしも同じ境遇になってしまったら、自分もそうならない自信は…ありません。

 

事故です。

 

ほんの数秒の(ズレ)で銚子の「おっぺし」などもいることもなかったはずです。

 

以来スパッツ姿のおばさんを見かけると、なんだかやるせない気持ちになる様になってしまいました。

 

人に歴史あり。

 

彼女には悲しすぎるドラマがありました。

 

 - 【地元すぎて伝わらないネタ】