200%の信頼
昨年の暮れ、賛同店となったばかりの当サロンにも、髪の毛を寄付されたいという方が早速いらしてくれました。
ネットでヘアドネーションを知り、ひと通りおまかせできる店を探していたのだとおっしゃいます。
じきにとなりまち旭(あさひ)から、そして銚子(ちょうし)、川を越えて神栖市(かみすし)から来てくれる方も見えるようになりました。
当然ですが、お客さんの髪をバッサリ切る機会は、今までたくさんありました。
カウンセリングの時には、だいたい決まって「もったいないですかね?」と僕に確認をされます。
「バッサリいちゃいましょう!」などど景気良く答えらればいいのですが、床に落ちた瞬間に、大切な髪だったものが”掃いて捨ててしまうもの”に変わってしまう。
どことなくそんな切なさに駆られることもあったせいか、僕もつい慎重になってしまいます。
何か良い後押しは無いものか?
切った髪はやっぱり捨てるしかないのか?
日々、そんな思いが巡っていました。
・
・
・
この活動は、ドナー(髪を提供する人)となる方が発端となり、美容師やNPO有志、海外での特殊加工やウィッグ会社、いくつもの場所、工程を経た後に、レシピエント(子どもたち)のもとへとウィッグが届けられるものです。
そんななかでも、われわれ理・美容師はドナーと直接関わるので、そのきっかけや理由、願いや勇気を直接感じることができます。
とても、とてもありがたく、背筋がピンとする瞬間です。
その気持ちは、ゴムで結いた毛束にハサミを入れるとき最高潮に達しますが、髪を切られる方の顔には何の迷いもありません。
むしろ誇らしげで、単に髪を「バッサリ」いくときの”それ”とは違う感じです。
私も思い返すことは無く、ただ一点切り離すポイントを見極めることに集中します。
そこには何か…同調している波長のようなものが感じられ、さらにその勇気を称えるように、ヘアスタイルを完成させます。
そうすることで周りの人にも自信を持って伝えられ、またドナーがうまれる。
そんな”つながり”となって拡がっている「ヘアドネーション」であります。
・
・
・
それでは、ご紹介にうつります。
こちらは7歳
とても愛くるしいお顔の小学1年生女子
長い髪がトレードマークだったそうです。
「困っている他のお友達の役に立てる」ということを知り、短くすることを決めました。
生まれて初めて体験する衝撃的な違和感に少し戸惑ったそうですが、似合っていることもあり、すぐに気に入ってくれたそうです。
募金もお預かりしました、どうもありがとう。
良い思い出となってくれるように、ショートムービーを作らせてもらいました。
続いてこちらの方は成人式後に髪を短くしたいと思っていたところ、ヘアドネーションの記事を発見し、「やるしかない」という想いに駆られ、連絡をくださいました。
タイムリーです
素材を活かします
規定の31センチをギリギリクリアしてのヘアスタイル作りですので、切り離す毛束は細めに分けます
なおかつ、クセを活かしてのオモカルボブ
とても気持ちが軽くなったそうです
続いてストレートヘアの女性、職場でもヘアドネーションの話題があがっているそうです。
サイドの部分が若干足りなそうだったのですが、せっかくなので完成のヘアスタイルを調節しつつ全部を束ねてみます。
切り離し直後
艶やかな毛束となりました
カット終了、髪質が素直ということもあり、分け目をかえ、リニューアル。
スタイリングすればも自然なボリュームも出やすく、いきいきとしたボブに。
また、髪を寄付するために、伸ばしていくそうです
ありがとうございます。
・
・
・
ドナーシートと共に、一人分づつ丁寧に袋に入れ、今回は三人分の”毛束と真心”を送ります。
・・・このヘアドネーションは、ヘアカットの勉強にもなります
言い換えますと、安直にできるものではないと思っています
通常ロングからショートにする場合、多くは「粗切り」をします
理由は切りづらさを無くすためと、隠れている髪のクセ、に対応するためです。
ドネーションカットは、この「粗切り」をせず、より慎重な見極めが必要となるため、経験もある程度要ります
寄付する髪の条件をクリアしつつ、どれだけ髪を長く残せるか?
また、予定したヘアスタイルに対して、どれだけできるだけ寄付する髪を長く切り取れるか?
つまりは床に落とす髪をできるだけ少なくしたいのです。
そのため、ブロッキングをひとつひとつ細めに取り、ハサミの入れる向き、切り口も計算に入れ、カットします。
ご自分でカットし、ご自分で毛束を郵送される方もいらっしゃるかもしれませんが、心地の良い髪型でいられるためにも、できるだけ賛同サロンにてカット、アフターカットをしてもらう事をお勧めします。
当サロンは、掃いて捨てる髪を、できるだけ少なくしたいと考えます。
そこには
100と100
200%の信頼が存在しています。