「美容師をやめたい」
そう思う若いひとの中には、
お客さんの歓びの声を直接聞いたことがない、
ということが原因のひとつになっている人がいるかもしれません。
具体的にいうと、スタイリストになり、最初から最後まで一人でお客さんを仕上げた経験がまだ無い、
ゆえにお客さんたちの心からの歓びや感謝を送られることが未経験だったりします。
そりゃシャンプーだってマッサージだって、上手にこなせばアシスタントであっても、嬉しい言葉をいただくことはできます。
そうではなく、もっと直接的な相手の心からあふれているようなよろこび、
それを感じたとき、自分にとっての歓びになる。
私はそこに美容師であるという意味、そして醍醐味を感じています。
そう、
「他人をよろこばせることが、自分にとってのよろこび」
この気質があるかないかで大きく違ってきます
相手を思いやる、相手の立場になる、といった月並みに要求されるスキルではなく、
もっと良くしたい、もっとどうにかしてあげたい
もちろん自分よがりや、ありがた迷惑でもなく
他者への無償のおもてなしを自然に行るかどうか。
つまりは「貢献感」
そして交わされる「ありがとう」
直接的な”人”とのコミュニケーションをする中で感じるよろこびをどれだけ深く浸透させ、
技術だけでは到達しえない充足感を経験できるか?
このことが更なる向上心をかきたて、継続に向かう要素となっています。
昨今の、若者たちにおける”コミュニケーション離れ”という課題もあります、
プライベートにおいても他者に関心を持ち、そして家族であれば、友達であれば、恋人であれば、もっと深い関りを持っていく事がとても重要です。
たかが美容師なのかもしれませんが、コミュニケーション能力だけは切り捨ててはいけないと思っています
仕事はプライベートに、プライベートは仕事に通ずるものであると、わたしは思っています。
すべからく、社会ではコミュニケーションスキルが求められ、また磨いていくべきことですが
「他者をよろこばせることが自分のよろこび」というものは性格の基礎となる”気質”でもありますが、
中には感受することがが難しい人もいるわけです。
繰り返しになりますが、そのためにも普段からもっと他者に関心を持ち、関わりを深め、いち早くそれに気づく、ということもまた必要です。
自分を知る、他者を知る、人を深く理解していくことにもつながります
決して飛躍した話ではなく、私自身が美容師という立場の中で経験、吸収してきたかけがえのない”気づき”です。
またこれらを裏返せば、美容学校を含め、3年、4年と続けても向いていなかった、やりたい事はこれじゃなかった、という無駄を省くことにもなります。
まずは自分自身を理解するためにも、身近にいる人にもっと関心を持って過ごしてみてください。