「トリートメントは髪をいためる」
私がこの事実を受け入れてから二年以上経過します。
美容師の間にもだいぶ広がり、定番化しつつもあります。
日々、SNS等で発信、呼びかけている美容師も増え、サロンワークにおいてもお客様に理解していただく絶好の機会となっているはずです。
それと集客を望んでいる個人経営などのサロンにとって、「差別化」を思わせるフレーズとしても、もう少しですが活躍しそうです。
身軽な経営者さんは乗っからない手はないでしょう。
その一方でまだまだ認識が浅いとも感じています。
「トリートメントは髪をいためる」とうい言葉が広がるにつれて、ある意味矛盾が生じてきます。
「トリートメントは髪を傷めるんじゃなかった?」
「いえ、うちのは大丈夫です。」
「そうなんですか・・・。」
言葉の持つインパクトが強い為に「言葉」が独り歩きしてしまう危険性もあります。
そうなってしまう前にトリートメントがなぜ髪を傷める事になるのか、必ずワンセットで伝えなければなりません。
それに加えて今度からどうしたら良いのか、お客様にアドバイスの提案する義務もあるかと思います。
そして、まだ記憶に新しい「ノンシリコン」ブーム。
とにかく収益がアップする商品を送り出す事が第一、というメーカーのキャッチフレーズとしては大成功したと思います。
その反面、何となく「シリコーン」がワルモノだという誤解がいまだに残っています。
当然われわれ美容師は違います。
あくまでトリートメントも一つの手段としてお客様を満足・感動してもらえるよう務めなければなりません。
「トリートメントは髪をいためる」その意味、その続きが大切です。
トリートメント自体が悪い!などもありません、シリコン同様「被膜トリートメント」を単なるワルモノとして扱ってはいけません。
もちろんメリットもあります。ドエス美容師として有名な森下さんも「傷んで良ければいつでもやるよ、ツルピカトリートメント。」と言っています。
被膜トリートメントは現代の環境では確かに髪を傷める結果になるかもしれません。
悪循環かもしれません。
ですが、それを承知で従来の被膜トリートメントをしたい。
今までのやつやりたい。当然そういう方もいます。
開き直りでもなく、必要に応じて適切に施せばそれなりの効果を発揮します。
「髪を傷ませるからダメです。」
「パーマに影響するからこまります。」
「ウチでは悪いものは扱ってません。」
ばっかりでは美容師の自己満足になってしまいます。
正しい知識を持ち、それぞれのメリットデメリットをわかりやすく整理し、事前に伝え、選択する事によって両者とも納得する結果が得られると思います。
やや飛躍しますが、新しい発見、科学の進歩によりコーティング仕様の画期的な方法もまた登場するでしょう。
もはやコーティングではないレベルかもしれません。
そしてまた、本当に髪を「治癒」させることが可能になるかもしれません。
生まれつきのクセ毛を直毛にできる飲み薬ができるかもしれません。
すべては「今現在は無理」って話です。可能性を潰してはいけないと思います。
そして、今現在 「トリートメントは髪をいためる」 この意味を理解し、受け止め、しかし悩んでいる美容師もいるでしょう・・。
私も今までトリートメントを長年にわたって勧めて来ました。
20年近く言い続けた事を否定する覚悟を持つのに、少し時間がかかりました。
「本当に悪い美容師」などいないと私は思います。
新しい製品が出れば勉強し、良かれと思い、お客さんの喜ぶ姿を見たくて勧めて来ました。
その思いはみんな一緒です。
たとえ今現在「被膜トリートメント」のみの取り扱いしかできないサロンだとしても臆することなく正しい知識をお客さんにも伝えて下さい。
お客さんはわかってくれます。
私たちが思っているよりずっと信用してくれています。
店の迷惑になる?他の人の邪魔になる?
そんな事が足を引っ張る事にはなりません、足を引っ張られてるのはあなたです。
自分たちが正しい知識を蓄え、それをお客様にも伝え続ければ、メーカーの言いなりになる事も無く、誇大広告の仮想やトリックに惑わされる事さえ無くなります。
悪いのは「無知」です。
技術の向上は知識の向上と共に有ります。
特に若い美容師さん、たくさんの知識と教養を蓄える事を怠らないでください。
故山野愛子先生の願望でもある「美容師の社会的地位の向上」にもぜひ目を向けて下さい。
でなければ未来の美容師たちが姿を変える事すらできなくなってしまいます。
私はこの「トリートメントは髪をいためる」というキーワードをきっかけにDO-S methodを取り入れました。
もちろん結果が得られるまでには多少のタイムラグがあります。
しかしどんな環境にあっても頭の中は自由です。
自分の考えを無理やり取り替えさせる事はできません。
自分で選びました。
みんなお客様をよろこばせたいはず。
美容が好きなはず。
新たな気持ちで取り組んでみるのも悪くはないと思います。
-以上でした-